2013年05月07日

試練の学校(5)

「百万人の福音」2012年4月号に掲載された喘息や乳がんなど病気のことを書いたエッセイを紹介しています。

今回は最終回です。今年の12月で乳がんの手術を受けてから10年になります。いま、わたしは生きています。いえ、生かされています。


(五)病気になったことの意味

以前わたしは誰からも愛されていないとひがんでいました。両親から愛され大切に育てられたのに、愛されていることがわからず、逆らってばかりいました。
夫からも愛されているという実感がなく、不満を抱いていました。
愛されている実感がないと、誰も愛することができないのかもしれません。わたしは夫も子どもたちも友人も本当の意味で愛することができませんでした。

いつも自分本位で、相手が自分の思い通りになって欲しいと思っているだけでした。相手の立場に立って、深く共感し、思いやりを示すことができない者でした。
何より、自分自身を愛することができませんでした。こんなわたしなんか……と自己卑下していました。

でも、喘息と乳がんという病気を通して神様がどれだけわたしのことを愛して下さっているのか気づかされました。
坂道で星を見上げて泣いたとき、その小さな声を聞いていた方がおられました。わたしを造り、いつくしんで下さる神様は、わたしの苦しむ姿をじっとご覧になっておられたのです。神様はそのあとすぐ喘息を一時的に治して下さいました。

再び喘息が出たときは、教会を離れていた時期でした。神様はわたしを教会に引き戻そうと病を下さったのだと思います。
乳がんになる前、わたしの最大の関心事は神様のことではなくて、健康のこと、子育てのことでした。日常生活に追われ、毎日忙しく過ごしており、神様の前に静かにすわることが少なかったのです。

乳がんになって、死んでしまうかもしれないと思ったとき、頭のてっぺんから足先に電気が走ったようにビリビリ緊張感が走りました。
天国に持って行くことができないものばかりに夢中になって、大切なことを第一にしていなかったことに気づきました。

神様から与えられている時間は限られているのに今まで何をしていたのでしょう……。

聖書には「神の国とその義をまず第一に求めなさい」と書かれています。
死と隣り合わせになって、癌でなくても人間は誰でもみな死ぬという当たり前のことを悟りました。
死ぬかもしれなかった病が与えられて、いま、生かされている現実を考えると、真剣に神様の義を求めて生きなくてはと思いました。

わたしは、話すより文章を書くほうが得意なので、あかし文章を書くことが使命だと示されていました。でも、書いてばかりいると枯渇してしまいます。

まず第一に神様と真剣に向き合って祈ろう。祈るといっても自分の願いや希望を言うのではなく、黙って神様のみこころを求めよう。それから聖書の勉強をしようと決心して、通信で聖書の学びを始めました。

(六)完治について
わたしの喘息は、完治することはないそうです。何年も発作がなくても予防の吸入は生涯続けなくてはなりません。
また、乳がんは、術後十年以上経って再発転移する人がいるそうです。術後二十年再発転移がなくてようやく完治したと言えるそうです。ほかの癌より長い期間注意していなければなりません。

現在、乳がんの手術を受けて八年経ちましたが、まだ安心できる状況ではないのです。でも、そのような緊張がわたしには必要なのです。
完治するかどうか、それは大きな問題ではありません。大切なことは、心がどこへ向いているかです。

今、わたしはとても充実した日々を過ごしています。
朝起きると、『神様、今日も生かしてくださってありがとうございます。神様から与えられた尊い一日が始まります。どうか、あなたから与えられている時間を大切に用い、あなたの栄光を現す生き方ができますように』と祈ります。
明日でいのちが終わっても悔いのないように生きようと思うのです。

もしわたしが喘息や乳がんにならなければ、どうでもいいことで頭を悩ませ、つぶやいてばかりいたでしょう。

試練の学校で、神様はわたしに喘息と乳がんという病気を与えて、いのちの尊さと、大切なことは何かを教えて下さいました。

愛に欠けていたこのわたしが愛することができるようにと下さった課題が痛みと呼吸困難と肉体的、精神的苦しみでした。この課題を心から感謝しています。

試練の学校では苦しみのあとには必ず、恵みとあわれみのプレゼントが用意されています。
試練の学校はまだ卒業にはなりません。地上で生かされている限り生徒です。

卒業のとき、先生のイエス様から「よくやった。よい忠実な生徒よ」と言われることを目指して学び続けていきたいです。


苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。(詩編119:71)

posted by 土筆文香 at 15:53| エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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